« 2009年11月22日 - 2009年11月28日 | トップページ | 2009年12月6日 - 2009年12月12日 »

2009年11月30日 (月)

心の深淵に潜む

何度も言うようだが、僕が水族館が大の苦手である。
親切な人々は、その理由を推測し、
「魚が怖いから」とか「水槽が割れて水が押し寄せるイメージがするのでは」と
アドバイスをくれるのであるが、残念ながら、それらは全く正解ではない。

なぜならば、僕は過去に釣りを趣味としていたため、魚が怖いわけではなく、
また同様に、過去水泳部に所属していた事があり、水が怖いというわけでもない。

では、水族館を怖がる真の理由とは何なのか。
幾度か考えた事もあるが、どうせ僕の人生の中で水族館に入れない事が
マイナスに働く事なんて無いのだからと、探求を中断するのが常だった。

そんなわけで、水族館なる施設には、高校生の時を最後に行っていなかったのだが、
あれから10余年を経た今、また行く事で真の理由が掴めるのではないかと考え、
千葉県にある某水族館へ足を運んだ。

中学生の時、「もう子供じゃないんだから」と
ひとりで地元の水族館に行った時の事を思い出しつつ
入り口をつぐる。(あの時は憤死するかと思った)
最初の施設に入ったとたん、過去の恐怖体験から一瞬足がすくむが、
なんとか踏み止まり、暗闇に足を運ぶ。
うつむいたまま水槽の前に行き、顔を上げてみると、以前のように怯えることは無いものの、
何とも形容しがたい不安感が僕を襲い、段々と動悸が激しくなっていくのが分かる。
これはダメだと思い、次の水槽へ向かうが、そこでも同じような感覚に襲われる。

その後、幾つかの水槽を見て回った結果、いくつかの事が判明した。
まず、水槽を上から見るタイプは平気という事。
また、ペンギン等、ガラス越しだが水が入っていない場所も平気だという事。
そして、水で満たされた、特に湾曲した水槽越しの景色は、
幼少時から現在まで続くある感覚に非常に良く似ている事が分かった。

おそらく、これが原因である。
この「ある感覚」を文章で説明するのは大変難しい事なのだが、
「不思議の国のアリス症候群」という言葉を聞いた事があるだろうか。
詳しくは適当に調べて欲しいのだが、僕の場合、
人の顔が大きく見えたり逆に小さくなったり、
とにかく、遠近感がおかしな事になる現象が、子供の頃から特定の条件下で発生する。
例えるならば、ヒッチコックの映画『めまい』で使用した、
いわゆる「めまいショット」に近いだろうか。

これが、水槽越しの景色と似ているのだ。
水槽に使用されているガラスは、実はガラスではなくプラスチックである。
レンズにも使用されているPMMAなのだが、
これが湾曲しているためにレンズ効果が発生し、視界が歪んで見えるのだ。
加えて物質は他の物質との境界線上において光を曲げるため、
空気・水槽・水という3層構造によって、より視界は非現実的な物となる。
気にしない人が大半だとは思うが、
僕にとってはおぞましい感覚を彷彿とさせる景色だったわけだ。

僕が大人になって多少冷静になった事と、
光学部品メーカーに就職した事によって判明した事実だ。
素晴らしい。
原因さえ分かれば対策も容易であり、僕は今後水族館を恐れる事など無いのだ、
と一瞬思ったが、肝心の「不思議の国のアリス症候群」の原因が解明されていないため、
やっぱり怖いままだったりする。

いるかどうかは知らないが、未来の僕の恋人へ
頼むから、デートで水族館は勘弁してください。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

« 2009年11月22日 - 2009年11月28日 | トップページ | 2009年12月6日 - 2009年12月12日 »